「逆説の選択」とは、従来のルールや価値観の中にある常識ではなく、むしろ非常識といった対抗概念を積極果敢に選択していくことです。そうした認識が、これまでにない新しいものを生み出すイノベーションの発芽になります。かつて、変化を拒絶するようにして安定を手に入れていた時代では、同じ商品やサービスの繰り返しによって継続力を維持してきました。しかし情報化社会の現在では、むしろ変化を取り入れることによって継続力が発揮されていきます。例えば歌舞伎のような伝統芸能であっても、現在の流行や最新のテクノロジーなど、古典とは対極に位置するものを積極的に取り入れることでファン層の拡大につなげています。重要なのは、1つの価値観や概念に固執するのではなく、その対抗概念も含めて両方を行き来することです。それによって区分けされていたそれぞれの概念の垣根が外れ、中間が大きく広がっていきます。この中間こそが新しい社会や個人を作っていくための最大のフィールドになるのです。逆もまた真なり。「逆説の選択」というキーワードを、情報化社会がもつ重要な原則論として、しっかりと認識しておきましょう。
ジャパンライフデザインシステムズ
谷口正和
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